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研究トピックス:

■ ペルム紀末の大量絶滅後の海洋古生態系の復元

気仙沼-南三陸地域に露出する下部三畳系の陸棚の細屑性堆積岩体(稲井層群平磯層)を調査して,顕生代史上最大の大量絶滅イベント(後期ペルム紀)の後の時代の生態系を研究しました。当時の化石群集は多様性が非常に低く,大量絶滅イベントから数百万年を経てなお,底生生態系の回復は途上であったことが分かりました。

■ 白亜系中部テペキ石灰岩の特殊化石保存環境の研究

特殊な化石保存環境を示す白亜系中部テペキ石灰岩(メキシコ)について,1)顕微鏡下での記載岩石学的観察,2)統計学的手法による初生的な岩相の復元,3)周期解析による堆積周期研究という,3つのアプローチから多角的に堆積環境を推定した結果,比較的安定な深海のストーム性の堆積環境で形成されたと推定されました。

■ 光合成生物の色素化合物起源の分子化石(化石ポルフィリン)

海洋の光合成生物の生理や生態は、彼らの作る有機物の炭素や窒素の安定同位体組成に反映されます。光合成生物の普遍的な色素であるクロロフィルを起源とする「化石ポルフィリン」の分子レベル同位体分析から、これまでアクセスできなかった古環境・古生態・生物進化の謎が解き明かされます。     (➣ギャラリーへ

■ 絶滅境界における環境変動の復元

地球生命が進化の過程で繰り返し被った大量絶滅には、有機物に富む黒色頁岩の汎世界的な堆積が伴われ、当時の劇的な環境変化を記録しています。白亜紀の海洋無酸素事変では、熱塩循環が停滞し、海洋表層ではシアノバクテリアが繁茂する特異な環境であったことが、化石ポルフィリンの証拠から明らかにされました。

■ 光合成色素の同位体組成に基づく好気的光合成細菌の研究

好気的な環境で活動する非酸素発生型の光合成細菌は、一般的な海洋環境に広域に分布し、生元素の物質循環に非常に重要な役割を果たしていることが想像されます。好気的光合成細菌が合成する色素「バクテリオクロロフィル」とその分解生成物の分子レベル安定同位体組成分析から、彼らの生理生態を解明します。

■ シアノバクテリアの安定同位体化学的研究

原始の地球に登場した酸素発生型光合成生物であるシアノバクテリアは、窒素固定能など藻類にはない機能を持ち、地球史上の苛烈な環境変動期や現在の地球上でも重要な生物です。この遺伝的の多様な生物の生理や生態を読み解く安定同位体情報、特にクロロフィルの炭素・窒素・水素同位体組成を決める要因を解明します。

■ 化石殻体内有機物の安定同位体科学

画期的な同位体プロキシー「アミノ酸の窒素同位体組成を用いた栄養段階の解析法」を考古学試料や化石試料へ応用すべく、生物硬組織中のアミノ酸の同位体分析法を開発しています。現生オウムガイ殻体中の有機物の窒素同位体組成は、個体の成長を通した栄養源の変化を定量的に記録していることが確認されました。





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Yuichiro Kashiyama, FUT